オリンピック選手やプロスポーツ選手から趣味で筋トレをしている人まで、高い人気を誇るサプリメント「クレアチン」。その優れた効果から「最も効果を実感できるサプリメント」とも呼ばれています。
しかし、トレーニーからの認知度の高さとは裏腹に、一般的な認知度は日本ではまだ高くありません。そこで、クレアチンを飲んだことがない人にも分かりやすく、クレアチンの効果についてご説明しますので、参考にしてみて下さい。
実証されているクレアチンの効果
クレアチンの効果を説明する前に、まずはクレアチンの働きについて簡単にご説明します。
私たちの筋肉はATP(アデノシン三リン酸)の分解によって得られたエネルギーによって収縮しています。しかし、筋肉中にあるATP(アデノシン三リン酸)の量は極わずかであり、運動中にすぐ枯渇してしまいます。
そこで、運動中にもATP(アデノシン三リン酸)の再合成が行われるのですが、その再合成に大きな役割を果たすのがクレアチンです。
端的に説明すると、クレアチンを摂取することによって、筋肉のエネルギーを多く溜めこめるということです。このような働きによって、クレアチンは以下のような効果を期待できます。
- 筋力・筋持久力の向上効果
- 運動パフォーマンスの向上効果
- 筋肉量の増加(筋肥大の促進)効果
- 除脂肪体重の増加効果
- 疲労回復効果
- 記憶力向上効果
それぞれの効果について、以下で詳しくご説明します。
筋力・筋持久力の向上効果
クレアチンの効果の中でも、メインとなるのが「筋力・筋持久力の向上効果」です。前述した通り、クレアチンを摂取することによって、筋肉のエネルギーを多く溜めこむことが出来ます。
クレアチンが関与するエネルギー供給機構は「ATP-PCr系」と呼ばれるものです。ATP-PCr系は、最も強度の高い運動を行う際に利用されるエネルギー供給機構であり、瞬発力が求められる運動に使われます。
しかし、ATP-PCr系は最も高エネルギーを生み出せますが、合成に必要な材料に限りがある為、最大限動員されると7秒から8秒でエネルギーを供給出来なくなります。
全速力で走り続けられないのは、ATP-PCr系によるエネルギー供給がストップするためです。しかし、クレアチンを摂取することにより、このエネルギーを多く蓄えることが可能となります。
それにより、筋力・筋持久力の向上効果が得られます。簡単に説明すると、瞬発力の持久力が向上するということです。
非常に短い時間しか発揮できない強度の高い運動の時間を少し伸ばすことが出来るのが、クレアチンの最大の効果です。
この効果は非常に実感がしやすく、短距離走の記録が伸びたり、筋トレのレップ数が増えるなど目に見える形で現れます。
それゆえ、クレアチンは最も効果が実感できるサプリメントとして人気を博しているのです。
運動パフォーマンスの向上効果
クレアチンの摂取によって、最大筋力の持久力が伸びることは前述した通りです。瞬発力の持久力が伸びるということは、多くのスポーツにおいて、運動パフォーマンスの著しい向上という結果に結びつきます。
ある研究によると、クレアチンを1週間摂取したことにより、以下のような運動パフォーマンスが向上したと実証されています。
- ベンチプレスのMAX重量:5%~10%アップ
- 100メートル走タイム:0.2秒短縮
- 1500メートル走:5秒~10秒短縮
などです。このようにクレアチンは非常に優れた効果を発揮します。
ただ、この研究はサプリメントメーカーが発表したものであり、鵜呑みにはしない方が良いですが、実際に摂取している主観としても、瞬発力の持久力が向上したとはっきり感じています。
運動パフォーマンスの向上は、アスリートの競技結果に直結しますので、オリンピック選手の80%以上が摂取してるというデータにも大いに頷けます。
筋肉量の増加(筋肥大の促進)効果
クレアチンは筋肉量の増加、つまり筋肥大にも非常に効果的です。誤解しないでほしいのは、クレアチンはプロテインの様に筋肉の材料になるわけではありません。
前述した通り、クレアチンは最大筋力の持久力を伸ばす効果がある為、よりハードなトレーニングを行うことが可能となります。
ハードなトレーニングの結果として、筋肉量の増加(筋肥大の促進)効果が得られるのです。
つまり、クレアチンの摂取だけでは筋肉量の増加(筋肥大の促進)効果は得られないということです。
この効果を得るには、クレアチンの摂取と、トレーニングが不可欠です。
具体的に説明しますと、今までベンチプレス100キロを10回が限界だった人が、クレアチンの効果で12回行えるようになれば、トレーニング効率が上がります。
トレーニング効率の上昇は、筋肉量の増加(筋肥大の促進)に直結します。それゆえ、クレアチンには筋肉量の増加(筋肥大の促進)効果があり、筋トレ愛好家に愛されているのです。
除脂肪体重の増加効果
クレアチンには除脂肪体重を増加させる効果も期待できます。除脂肪体重とはその名の通り、脂肪を除いた体重のことです。つまり、脂肪以外の筋肉や骨格、内臓などの総重量のことです。
除脂肪体重の増加=デブという訳では決してありません。むしろダイエットや減量時においては、いかに除脂肪体重を減らさずに体重を落とすかが重要と言われています。
ボクシングなどの体重制限のある競技を除けば、アスリートやトレーニーにとって除脂肪体重の増加は基本的には喜ばしいことです。
クレアチンに除脂肪体重の増加効果がある理由は、2つあります。
まずは、前述した筋肉量の増加(筋肥大の促進)効果によるものです。クレアチンの摂取によって、よりハードなトレーニングを行えるので、筋肥大によって除脂肪体重が増加します。
もう1つが、水分量の増加による除脂肪体重の増加です。クレアチンの摂取によって、筋肉内のクレアチン量が増加すると、人体は濃度を薄めようとします。そのため、筋肉内に取り込まれる水分量が増加し、除脂肪体重が増加します。
クレアチンの飲み始め(ローディング期)で体重が増加することが多いのですが、この筋肉内の水分量の増加が原因と言われています。
筋肉内の水分量が増加することにより、「筋肉のハリが増した」「筋肉が大きくなった」と感じる方も多いようです。
疲労回復効果
クレアチンには、疲労回復効果もあると言われています。実はクレアチンには炎症を抑制する「抗炎症作用」と、活性酸素から体を守る「抗酸化作用」があります。
この2つの効果によって、クレアチンには優れた疲労回復効果が期待できます。疲労回復効果があるということは、トレーニングをよりハードに行えるということですので、副次的に筋肥大効果や運動パフォーマンス効果の向上に期待できます。
記憶力向上効果
なんとクレアチンには「記憶力向上効果」もあると言われています。
クレアチンが筋肉のエネルギーを溜めこむ作用があることは前述した通りです。この「すぐに使えるエネルギーが増加」したことにより、副次的に、脳や神経細胞のエネルギー代謝がスムーズに行えるようになります。
その結果、脳への酸素効率が向上し、記憶力が向上するということです。また、それだけではなく、脳への酸素効率の向上は「精神疲労の改善」にも効果が期待できます。
肉体的にも精神的にも、疲労を覚えるのは酸素の供給量が十分ではないのが原因と言われています。
クレアチンには上述したような効果が期待できるため、肉体的にも精神的にも疲労回復に非常に効果的です。