優れた効果からアスリートに支持されているクレアチン。IOC (国際オリンピック委員会)が食品と判断しており、オリンピック選手の80%以上が摂取しているというデータもあるほどアスリートから支持されています。
しかし、「優れた効果」には「副作用」がつきものです。そこで、よく耳にするクレアチンの副作用について、詳しくご説明します。
クレアチンの副作用
まず気になるのが、「クレアチンにはどのような副作用があるか?」です。結論から申し上げると、クレアチンには実証された副作用はありません。
クレアチンは最も研究が盛んなサプリメントの1つであり、世界中で様々な研究がなされています。それらの研究の中には、動物実験や人体実験なども行われており、50以上の臨床試験も行われています。
21か月以上の長期間において、様々な年代の人にクレアチンを服用させた実験でも、望ましくない副作用が出ないことが実証されています。
ですので、現在のところ「クレアチンには実証された副作用はない」ということです。
効果の高さから副作用の心配をする気持ちは分かりますが、そもそもクレアチンはサプリメント、つまり食品です。
研究も盛んで、海外では古くから摂取されてきたサプリメントであり、安全性が高いサプリメントと考えます。
しかし、クレアチンの副作用については耳にしたことがあると思います。「肝臓や腎臓に悪い」や「腹痛になる」などと言う方も少なくありません。
そこで、よく耳にするクレアチンの副作用の噂について、本当に大丈夫なのか?なぜこのようなことが言われるのか?についてご説明します。
また、クレアチンに実証された副作用はないと述べましたが、粗悪なクレアチンサプリメントには注意が必要です。
クレアチンはメーカーによっては粗悪なものも少なくなく、不純物の多いクレアチンやチオ尿素が多く含まれた中国製のクレアチンも多く出回っています。クレアチンを選ぶ際には、注意が必要です。
肝臓や腎臓への影響
最もよく耳にするクレアチンの副作用が「肝臓や腎臓に悪い」です。これは非常に有名なクレアチンの副作用の噂であり、クレアチンの休止期を設ける方が多いのもこの為です。
結論から申し上げると、この副作用は実証されていません。「推測」から生まれた噂です。
この副作用の噂は、クレアチンの摂取によってクレアチンの代謝物質である「クレアチニン」の値が高くなることから生まれたと考えられます。
クレアチニンは、腎臓の検査のマーカーとして用いられることが多く、このような副作用の噂が生まれたのではないでしょうか?
しかし、クレアチンの長期的な摂取によって肝臓や腎臓に悪影響があったという科学的な根拠は実証されておらず、クレアチンに悪影響が無かったという研究も多くあります。
慣例的に休止期を定めている方も多いですが、クレアチンは肝臓や腎臓に悪影響はないと実証されていますので、安心して摂取して頂ければと思います。
ただ、肝臓や腎臓に持病のある方は、必ず主治医に相談して下さい。
体重増加
クレアチンを飲むと体重が増えるという話もよく聞きます。これは真実ですが、少し説明が必要です。
クレアチンによる体重増加は脂肪の増加によるものではないので、体重増加=副作用ではありません。
クレアチンは浸透圧が高く、水分を引きつける作用がある為、筋肉に吸収される水分が増加します。この水分量の増加が、クレアチンによる体重増加の要因と考えられています。
クレアチンを飲み始めた最初の数日で、1%から3%程度の水分の増加による体重増加が引き起こされるのが一般的です。
これは「クレアチンの効果」でも説明しました通り、除脂肪体重の増加ですので、副作用ではなく、一般的には喜ばしいことと捉えられることが多いです。
筋肉中の水分量の増加によって、「筋肉にハリが出た」と感じる方も多く、副作用ではなく効果の1つと考えています。
>>クレアチンの効果
腹痛や下痢
繰り返しになりますが、クレアチンは最も研究が盛んなサプリメントの1つであり、あらゆる面で安全性が確認されています。しかし、副作用がないことが実証されているにも関わらず、稀に「腹痛」を訴える方がいるのも事実です。
実際にクレアチンで腹痛を経験する方は、全体の5%程度は存在すると言われています。また、その原因もクレアチンの大量摂取が原因であるとの見方が有力です。
クレアチンによる腹痛を避けるには、一度に大量に摂取せず、空腹時を避けて摂取すべきです。
また主観としては、腹痛の原因にはクレアチンの効果を高めるために一緒に摂取することが多い「αリボ酸」の影響も大きいと考えています。
αリボ酸はその名の通り酸性の物質ですので、空腹時の摂取は胸やけや腹痛を引き起こす可能性があるのでご注意ください。
腹痛のリスクを減らす為には、溶けやすい微粉のクレアチンが吸収されやすい為おすすめです。
もし、摂取量を減らしても、毎度腹痛になるのであれば、体質的に合わない可能性もあるので、摂取を避けた方が無難です。
むくみ(浮腫)
前述した通り、クレアチンには筋肉中に水分を引きつける作用があります。その結果、「筋肉にハリが出た」と感じる人が多いですが、中には「むくみ」が気になる人もいます。
これは個人差が大きく、クレアチンによってむくみが生じるというデータも目にしたことがありません。
クレアチンによってむくみが生じるという副作用は実証されていませんが、むくみが生じたと感じる人は少数ですが存在します。
むくみが気になる方は、一度クレアチンの摂取を止めて様子を見ることをおすすめします。体内の水分量が減少し、むくみが解消されるのであれば、体質的にクレアチンでむくむと考えられます。
しかし、改善しない場合は、むくみの原因がクレアチン以外と考えられます。むくみは病気のサインであることもありますので、その際は医師にご相談ください。
また、クレアチンの摂取中にむくみが気になっても、水分の摂取量を減らすことは避けて下さい。クレアチンの摂取中は十分な水分補給が鉄則です。
頻尿
クレアチンの研究データから、頻尿に関するものを見つけられなかった為、この副作用に関しては推測です。
主観としては、クレアチンの摂取によって尿の頻度は少し増加します。これは2つの理由が考えられます。
まず1つは、クレアチンが体内で代謝されることによって生じるクレアチニンという物質の影響です。クレアチニンは老廃物の1種ですので、尿と共に体外に排出されます。
クレアチンの摂取によってクレアチニンが増加しますので、代謝の結果として尿が増えるということです。
もう1つは、水分摂取量の増加による尿の増加です。要するに水を飲む量が増えたことによって尿が増えたということです。クレアチン摂取時は、クレアチンが水分を筋肉中に引きつける為、水分摂取量を増やすのが鉄則です。
いつもより多く飲んだ水分は、不要な水分が尿によって排出されます。その結果、頻尿に繋がるということです。
いずれにせよ、重大な副作用という訳ではなく、ただ尿の回数が少し増えるだけです。繰り返しになりますが、クレアチンは研究が盛んなサプリメントであり、安全性が確認されています。摂取量を守れば、心配することはないと考えます。